保育士のお給料

深刻化する保育士の人材不足。
その理由には、勤務状況に見合わない給料が1番の原因になっています。そこで今回は保育士のお給料について調べてみました。

保育士のお給料はどのくらい?

保育士平均 全産業平均
平均年収 332.5万円 489.2万円
平均月収 21.6万円 33.3万円
平均
年間賞与
60万円 89.2万円
平均年齢 34.8歳 42.3歳

(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より)

全国平均月収 21.6万円(34.8歳)
保育士の中には、地方公共団体が運営する公立保育所と社会福祉法人、株式会社などの民間団体が運営する私立保育所があり、この公立、私立によって給料水準は大きく異なるのですが、いずれにせよ他の職種と比べると保育士の給料は明らかに「安い」といえる水準です。

年齢別ではお給料はどうなるか?

一般的に、長く勤め経験を積んでいけば、お給料は上がるとされていますが、保育士の場合どうなのでしょう?
年齢階級別に全産業の平均月収と比較してみました。

(単位:千円)

年齢階級 保育士女性 全産業女性 保育士男性 全産業男性
20~24歳 185.1 196.6 193.9 205.0
25~29歳 198.7 221.5 213.9 243.4
30~34歳 209.5 238.4 244.6 282.6
35~39歳 219.9 249.0 294.5 321.2
40~44歳 234.7 262.6 359.4 359.8
45~49歳 233.7 266.6 405.7
50~54歳 247.1 266.8 327.4 430.1
55~59歳 270.8 255.1 336.2 411.7
60~64歳 285.6 221.8 285.3 291.9

(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より)

上表から分かるように、保育士は経験、勤続年数に応じた給与の上昇が少なく、他の職種と比べ大きな昇給は望みにくいかもしれません。

保育士のキャリアアップ

保育士として、「将来は園長を目指したい!」「主任保育士になってお給料を上げたい。」などキャリアアップを目指す方も多いはず。
それと反対に「今のまま、こどもと長く過ごせる担任でいたい」、「今のポジションに満足している」と特に昇格は望んでいないという意見もあります。

では、保育士にはどのような役職があるのでしょう?

主な役職と必要経験

  • 園長・・・必須経験年数10年以上。運営・経営責任、資金計画、保育の深い理解などが必要となってきます。
  • 主任保育士・・・必須経験年数8年以上。園長補佐、経営状況の把握。年間行事の計画・運営責任。保護者の窓口など。
  • リーダー・・・必須経験年数3年以上。クラスの責任。保育士間の信頼関係の構築、担任・初任者の育成など。
  • クラス担当・・・必須経験年数1年以上。保育計画の立案・評価。保育技術の向上、初任者の指導など。

保育園の規模、運営形態によって違いはありますが、以上が主な役職です。いずれにしても一般企業に比べ、役職数が少なく、なかなか空きがでるものではありません。

今後どのようなスキルを身につけ昇格を目指すのか、もしくは今の保育園で昇格の望みが薄そうなら思い切って別の求人に応募することを考えるのも良いでしょう。

給料が安い、上がらないのはなぜ?

昔に比べ、共働きが普通になり、待機児童が増加している中、なぜ保育士のお給料はあがらないのでしょう。

理由のひとつに、昔は自分の子供は自分で育てるという思考が強くあり、保育士の役割は現在に比べ遥かに小さかったため、重要性が低いと考えられたのがもともとの低賃金の始まりです。

また、認可保育園の主な収入は、年齢階層ごとの「保育単価×園児数 + 国,自治体からの補助金」となっています。これがスムーズに運用できるギリギリのラインのため、保育園側が経営努力をしても収益を生みにくい→保育士の給与の底上げが難しいという状況になってしまっています。

潜在保育士は約76万人

上記のような理由から保育士の給料は昇給しにくく、その上一人がこなさないといけない仕事は多く長時間労働が強いられています。
せっかく国家資格を取り保育士になれたのに、このような理由でやむなく保育士という仕事から離れてしまう「潜在保育士」が約76万人もいるということです。

これを受け、政府、自治体は保育士の給与の引き上げの取り組みを表明しています。大幅な改善は難しいかもしれませんが、今後の給与の上昇、潜在保育士の復帰を期待したいものです。